翰林学士


 

 林(かんりん)学士の王平甫は恰幅(かっぷく)のよい巨漢であった。早い話がデブであった。だから夏が大の苦手。出勤するだけでもう汗まみれで、着物から滴がしたたるほどであった。それを見た同僚の劉貢父が言った。
「君は本当に“汗淋(かんりん、注:汗をかくこと)”学士だなあ」

(明『諧叢』)