人参湯


 

 早く外出した金持ちの御曹司、貧しい荷担ぎ人夫が行き倒れているのに出くわした。
「この者はどうして倒れているのかね?」
 すると傍らにいた人が、
「こいつは飯を食ってないので、空腹のあまりぶっ倒れたんですよ」
 と答えた。すると御曹司、不思議そうな顔で、
「飯を食べないのなら、どうして人参湯を一杯飲んでから出かけなかったんだろうね。半日はもつのになあ」

(清『笑得好』)