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 女は妓女の名である。呉(注:現江蘇省)の人、袁節とたいそう深い仲になり、決して他の客は取らない、と誓いを立てた。しかし、妓女に操立てなど許されない。養母は何とか他の客を取らせようと、百方手を尽くしたのだが、白女は頑として身を清く持した。
 ある富商が白女を相方(あいかた)に指名したところ、彼女は拒んだ。養母は怒り、手ひどい折檻を加えた。これがもとで白女は重い病に罹った。
 白女は袁節に手紙を書いて、会いに来てほしい、と懇願した。手紙を読んだ袁節はもとより会いに行きたいのはやまやまであったが、養母を憚って訪ねることができなかった。
 白女は憂悶の末、病状をますます悪化させた。そして、今わの際に養母に言った。
「あたしを葬るのは、袁様が来てからにしてちょうだい」
 そして息を引き取った。

 白女の棺を墓地に運ぼうとした時、不思議なことが起きた。棺が突然、重くなり、大の男が十人あまりで持ち上げようとしても、根が生えたようにビクともしないのである。養母は白女の遺言を思い出した。
「あれ!袁さんがまだおいででないよ」
 早速、袁節が呼ばれた。養母は棺を撫でた。
「袁さんがお前のためにいらしてくれたよ」
 その途端、棺が持ち上がった。

 袁節は白女のために僧侶を招いて供養を執り行った。それはまるで実の妻の死を悼むもののようであった。

(明『説聴』)