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白馬胡児を活かす


 

 平(注:現河北省)の宋察という人が、同郡の游昌の娘をめとった。
 宋察の先祖は西方から渡来した胡人で、中国に帰化してすでに三代を経ていた。今ではすっかり中国人になりきっており、宋察自身、自分が胡人の末裔であることを忘れていた。
 やがて子供が生まれたが、彫りの深い胡人そのものの顔立ちをしていた。宋察は妻がどこぞの胡人と不貞を働いたのではないかと疑い、自分の子供だと認めなかった。

 ある日、宋家の栗毛の馬が子馬を生んだ。親に似ず、全身真っ白であった。
「なるほど」
 宋察はハタと手を打った。
「昔、うちで白馬を飼っていたことがあった。それから二十五年、うちでは白馬が生まれることはなかったが、今、こうして生まれた。白馬の血統は表に出ないだけで受け継がれていたんだ。私も三代さかのぼれば胡人だった。その血が息子の代で現れたということか」
 子供を正式に跡取りと認めた。

 このことを当時の人々は、
「白馬胡児を活かす」
 と語り伝えた。

(唐『朝野簽載』)