男くさい婆さん


 

 る郎官、年老いてから数人の妾を置いた。以来、少しでも若く見せたいために、妻や妾に鬚の白い毛を抜かせていた。
 長年連れ添った老妻は、夫が若ぶって妾達の歓心を買おうとするのに腹が立ち、黒い毛ばかりを抜いた。一方、妾達は少しでも若くあってほしくて、せっせと白い毛を抜いた。
 そうこうするうちに、黒い毛も白い毛もすっかりなくなり、顎はつるつるになってしまった。

 これと似た話で、進士の李居仁(りきょじん)が鬚の白い毛をすっかり抜いたことがある。それを見た友人があきれてこう言った。
「以前は鬚の白い爺さんだったけど、今では男くさい婆さんになっちゃったなあ」

(宋『遁斎閑覧』)