る田舎者の女房、鏡というものを見たことがない。亭主が街に出かけた折に鏡を買って戻ってきた。鏡をのぞいた女房、びっくりして泣きながら母親に告げた。
「うちの人ってば、よその女を連れて戻って来ただ」
 母が鏡をのぞいて、云うには、
「あんれまあ、里のおっかさんまで連れて来ただか」

(宋『北夢瑣言』)