精衛


 

 、炎帝(えんてい、注:中国古代伝説上の帝王)の娘が東海で溺死し、その魂は精衛(せいえい)となった。精衛は自分の名を呼びながら、西山の木石をくわえて来て東海を埋めようとする。東海で死んだことがよほど怨めしいのだろうか。
 ある時、精衛は海燕と遇って子をなした。雌は精衛に似ており、雄は海燕と似ている。

 また、精衛はかつて自分が溺れたところの水は決して飲まないと言う。
 精衛は一名を「冤禽(えんきん)」、また「志鳥」ともいう。俗に「帝女雀(ていじょじゃく)」とも呼ばれる。

(六朝『任ム述異記』)