Make your own free website on Tripod.com

 

隴山の鸚鵡


 

 中(注:現陝西省)の商人が隴山(ろうざん)を通りかかった折、一羽の鸚鵡(おうむ)を捕らえた。鸚鵡は人語をよく話し、商人はひどくかわいがった。
 その数年後、商人はたまたま事件に連座して獄に下された。十日ほど拘留(こうりゅう)されて帰宅することを許されたのだが、いつまでも嘆き恨んだ。すると、鸚鵡が籠の中から言った。
「だんな様は獄に数日間つながれただけでも、とてもお辛かったでしょう。何年も籠に閉じ込められている私はどうなるのでしょう?」
 商人はその言葉にハッとした。そして、鸚鵡を入れた籠を手に隴山へ行くと、泣く泣く山へ離してやった。

 それからというもの、商人の知り合いが隴山を通りかかるたびに梢の間から鸚鵡の鳴き声が聞こえた。鸚鵡はこう言うのであった。
「だんな様はお元気でしょうか?私の言葉をお伝えください」

(宋『邵氏聞見録』)