馬の会話


 

 南が赤馬に乗って出かけて、白馬に乗った人とすれ違った。白馬が、
「ブヒヒヒ」
 といななくと、赤馬が答えるように、
「ヒヒン」
 といなないた。
 南は従者に言った。
「白馬が赤馬にこう言ったぞ。
『この先で左目の見えない黄馬に遇うはずですが、それは私の子です。急いで追いつくように言って下さい』」

 しばらく行くと向こうから黄馬がやって来た。左眼がつぶれていた。南の赤馬が、
「ブヒヒヒン」
 といななくと、黄馬が、
「ヒヒヒヒン」
 と答えた。

(六朝『抱朴子』)