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朱塗りのおまる


 

 のある娘が吉日を選んで嫁いだのだが、床入りした途端、おもらしをしてしまい、即刻、離縁されて実家に戻された。後に別の家に嫁ぐのだが、またもや床入りでおもらしをしてしまい、二度目も追い出される。
 娘には寝小便花嫁との噂が立ち、ついにどこからも縁談が持ち込まれなくなった。
 娘にはもともとおもらしをする癖などなかったので、母親は怪しんで問い詰めた。娘が答えるには、
「夢うつつのうちに下女が朱塗りのおまるを持ってくるのが見えるの。気がつけばもらしてるのよ」
 とのこと。
 初婚の相手からは見向きもされなくなり、ようやくある役人の後添いに納まることができた。不思議なことに、今回はおもらしをすることなく、無事に床入りをすませることができた。
 後に、夫である役人は尚書(注:長官クラス)にまで出世し、妻も命婦(みょうぶ)に封ぜられた。
 宮中で祝賀の宴が催され、命婦達が参内(さんだい)した。尚書の妻もその一人であった。宴は長時間に及び、尚書の妻は用足しをしたくなった。宮女の案内で厠(かわや)へ行くと、そこには夢で見た朱塗りのおまるが置いてあった。

(明『情史』)