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母子像


 

 昌(注:浙江省)の人、毛繪(もうかい)の描く画は魂を写すと言われていた。かつて廣仁院という寺を訪れたのだが、僧侶達の態度は無礼といってもよいものであった。内心、ムッときた毛繪は仏殿に入ると、その壁面に母親が子供に乳をやろうとしている姿を描いて寺を出た。
 廣仁院に怪異が起こるようになったのはその夜からであった。人気(ひとけ)のない仏殿から子供の泣き声が聞こえるのである。このため僧侶達は眠れなくなり、すっかりまいってしまった。
 ある日、再び毛繪が廣仁院を訪れた。僧侶からこの話を聞いた毛繪は笑って、
「泣き声を止めたいのなら簡単ですよ」
 と言うと、壁画に筆を加えて子供の口に乳を含ませた。不思議なことに、その夜から子供の泣き声はピタリと止まった。

(元『湖海新聞夷堅続志』)