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夜、餅を焼けば…


 

 「夜、餅を焼けば鬼神を招く」
 と言われている。

 ある儒生が夜、外出してちょうど四辻にさしかかった時、
「夕べ、崇徳院の和尚が餅を焼いて肉の吸い物を作っていたので、鍋をひっくり返してやった。肉の吸い物を全部、灰の中にぶちまけてやったわい」
 と誰やら話す声が聞こえる。あたりを見回してみたが、人っ子一人いなかった。

 ある幽鬼が民家の台所に化けて出たが、餅をもらえなかった。腹立ちまぎれに餅を焼いていた下女の背中を押してやけどを負わせた。すると、別の幽鬼が現れて下女に言った。
「ワシはやけどを治す方法を知ってるぞ。教えてやるから、餅をおくれ」

 ある家のお妾さんが夜、餅を焼いていると、窓から不意に大きな青い手が伸びてきた。餅をのせてやったところ、すぐに引っ込んだ。

(宋『北夢瑣言』)