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盗人の心得


 

 乖崖(ちょうかいがい)が四川を治めていた時、一人の盗賊を捕えた。
 張乖崖が尋問すると、盗賊はこう答えた。
「それがしが盗みを働くのは一年の半分です。三月から八月までは暑くて夜は短い上に蚊やぶよが多くて人はなかなか寝付くことができません。ですからこの時期には盗みはいたしません。九月から二月にかけてだと、夜は長く、気候は寒い、たいていの人は蒲団から出るのをおっくうがります。盗みにはうってつけの季節です」
「では、三月から八月までは何をしておるのじゃ」
「小商いをしております。荷を担いで各地を巡り、忍び込む金持ちを物色いたします。財産のありかから家族の状況、鍵の所在、夜警が見回りに来る時間などを調べておくのです。こうした入念な下調べがあったからこそ、十数年も捕まらずにすんだのでございますよ」

(宋『該聞録』)