照らして下さい


 

 の人が夜中に突然、病気にかかった。そこで門人を呼んで、灯りをつけるよう命じた。時刻は真夜中、部屋の中は一寸先も見えない暗闇である。門人は慌てていたのと、暗いのとでなかなか火打ち石を見つけられない。魏の人は、
「まだか、まだか」
 と急かしてやまない。あまりに急かすので、門人もたまらずこう言った。
「そう無理を言わないで下さい。真っ暗で手元も見えないんですから、灯りで照らすぐらい協力して下さいよ。そうすれば、火打ち石を見つけられて、すぐに火だって起こせますよ」

(六朝『笑林』)