選婿窓


 

 の李林甫(りりんぽ)には娘が六人おり、いずれも花のような美人であった。李林甫は娘達を愛惜し、名門から結婚を申し込まれても嫁がせなかった。
 李林甫の執務室の壁には窓が一つあり、雑宝で飾りつけて紅の紗が垂らしてあった。いつも娘達をこの窓の下で遊ばせ、貴族の子弟が面会に来た時には、娘達に命じて窓から様子をうかがわせた。そして、娘達に意に適う者を選ばせて、そこへ嫁がせたという。

 この窓のことを「選婿窓(婿選びの窓)」と呼んだ。

(五代『開元天宝遺事』)