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再婚


 

 庭(どうてい、注:現湖南省)の蒋(しょう)という漁師が妻を亡くした。四、五歳の幼子を抱え、途方に暮れる蒋に再婚話が持ち上がった。相手の呉氏は漁師の寡婦(かふ)で、四、五歳の娘を抱えて困っているとのこと。蒋に否やのあろうはずもなく、話はすぐにまとまった。
 呉氏を娶って一月も経たないうちに、蒋は突然、重い病にかかった。夢に呉氏の亡き夫が現れ、泣きながらこう訴えるのである。
「ワシとあんたの間には何の恨みもないではないか。なのに、どうしてワシの女房を奪い、娘まで取り上げるのだ。決してワシの家族をあんたには渡さんぞ」
 実は蒋と呉氏の間で、将来、それぞれの連れ子を結婚させようとの取り決めが交わされていた。蒋は恐れおののいて、許しを乞うた。
「ワシの亡き女房はお前さんの女房殿と同じ年配だ。亡者は亡者同士、再婚してはどうかね」
 この申し出に呉氏の亡き夫は大いに喜び、飛び跳ねながら姿を消した。
 蒋は夢から醒めるなり、結婚契約書を一通したため、紙銭とともに焼いた。すると、数日もしないうちに、病はウソのように治ってしまった。
 呉氏の亡き夫は二度と蒋の夢に現れなかった。

(清『履園叢話』)