鼻 中 人


 

 郷(現四川省)に唐與鳴(とうよめい)という人がいた。
 ある日、彼が昼寝をしていると、鼻の穴から小人が二人、現れた。身の丈は二寸ばかりで、地上に降り立つと、ものすごい勢いで走り出した。驚いた家族が捕らえようとしたところ、小人は唐の鼻の穴に飛び込んだ。その途端、唐は目を覚ました。
 唐は家族に追いかけ回された夢を見た、と語った。

 小人は唐の霊魂だったのである。

(清『履園叢話』)