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張 谷 山


 

 州(えいしゅう、現安徽省)に張谷山(ちょうこくざん)という人がいた。とても無邪気な性質で、いつも子供達と一緒に遊んでいた。
 張の従兄が薊州(けいしゅう、現北京市付近)に出かけて長らく家を空けていた。大晦日に従兄の妻がワンタンを作って先祖に供えた。従兄の妻 は年末になっても帰らない夫を思って嘆いた。
 谷山が横からニコニコ笑いながら言った。
「姉さん、そう悲しまないで。僕が兄さんのところへ一っ走りワンタンを届けに行ってくるから」
 そして、ワンタンをよそった碗を手に飛び出していったかと思うと、すぐに戻って来た。
「ただいま。兄さんには変わりはなかったよ」
 従兄の妻は笑って信じなかった。潁州から薊州までは二千里あまりも離れている。信じられないはずである。すると、谷山は懐から従兄の手紙と古い綿入れの着物を取り出して見せた。
「ね、ウソじゃないでしょ」
 この頃から、人々は谷山が常人でないことを知るようになった。

 後に、谷山は武当山(現湖北省)へ入り、二度と姿を現さなかった。
 谷山は家に二つの陶器を残していった。不思議なことに、夏、肉を入れておくと腐らなかった。

(清『池北偶談』)