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羽衣


 

 、予章(現湖南省)に一人の男がいた。
 ある日、田の中に六、七人の女がいるのを見た。いずれも素晴らしい美女ばかり。男がそっと近寄ると、鳥の羽毛で作った羽衣が脱ぎ捨ててある。その一枚を隠しておいて、いきなり飛び出した。すると、女達は争うように羽衣を身につけ、鳥と化して飛び去った。
 ただ一人だけが逃げることができず、田の中に取り残された。男はこの女を連れ帰って、自分の妻にした。男の妻になってからの女にはどこといって変わったところはなく、やがて二人の間には三人の娘が生まれた。
 娘達が口をきけるようになった頃、女はこう言った。
「かか様の羽衣がどこにあるか、とと様にきいてちょうだい」
 娘達に羽衣のありかをたずねられた男は、うっかり教えてしまった。
「それなら稲積みの下に隠してあるよ。かか様にはないしょだ」
 女は娘達の口からこのことを聞くと、早速、羽衣を隠し場所から取り出し、身につけて飛び去った。男は慌ててその後を追ったが、追いつくことは できなかった。

 女が飛び去ってしばらく経ったある日、三人の娘達が空を指さして口々に言い合うのが聞こえた。
「かか様だ、かか様が迎えに来たよ」 
 男が外に出てみると、女が三枚の羽衣を手に舞い降りてきた。娘達は羽衣を身につけると、鳥と化して飛び去った。

(六朝『玄中記』)