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宝鏡“飛精”


 

 安の任仲宣(じんちゅうせん)の家には「飛精」と呼ばれる宝鏡があった。識者によると、この宝鏡は非常に古いもので三代(夏・殷・周のこと)の頃からこの世に存在するものだという。
 その背面には、
「水銀陰精、百煉成鏡」
 と大篆(だいてん)によく似た書体の刻印があった。
 後に仲宣が南へ赴任する際、この宝鏡も持参していった。途中、洞庭湖(現湖南省)で激しい風雨に見舞われ、やむなく舟を停泊させた。
 その夜、夢に赤い衣の道士が龍に乗って現れた。道士は宝鏡を取り上げて言った。
「この鏡は水府の至宝じゃ。この世での期限が満ちたので返してもらうぞ」
 仲宣は目覚めると、急いで行李(こうり)を調べた。
 果たして宝鏡は失われていた。

(唐『龍城録』)