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十九本の矢


 

 谷渾(とよくこん)の阿豺(あさい)には二十人の息子があった。阿豺は今わの際に息子や弟を枕辺に呼んでこう言った。
「お前達、それぞれ矢を一本ずつワシに手向けてくれぬか」
 そして、同腹の弟慕利延(ぼりえん)に命じた。
「矢を一本取って折ってみよ」
 矢は容易に折れた。
「今度は残りの十九本をまとめて折ってみよ」
 さすがに十九本となると、折ることはできなかった。
 阿豺は言った。
「皆、これでわかっただろう。矢は一本ならば折ることはたやすいが、たくさんならば簡単には折ることができない。皆が心を合わせれば、国も強固なものとなるのだぞ」
 そして息を引き取った。

(六朝『魏書』)