孝犬


 

 哥という男の子がいた。犬を一匹飼っており、よくなついていた。
 五哥が十二、三歳で亡くなると、この犬は家族と共に墓まで行った。埋葬がすんでからも、墓の周りをうろつき、なかなか離れようとしなかった。まるで、亡き主人の姿を捜し求めているようであった。
 以来、犬は毎日、五哥の墓へ行き、夕暮れになってから戻った。この犬の墓参りは百日近くも続いた。

 人々はこの犬のことを「孝犬」と呼んだ。

(金『続夷堅志』)