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好色の罰


 

 舒(りゅうじょ、現安徽省)の劉観が平江(現江蘇省蘇州)許浦の監酒に任じられた。
 劉観には尭挙(ぎょうきょ)という息子がいた。地方の試験を受けることになり、舟を雇って旅立った。船頭の娘がたいそうな器量よしであった。尭挙がそれとなく誘いかけると、娘の方もまんざらではない様子。しかし、船頭の監視が厳しくて、思いを遂げることができないでいた。
 そうこうするうちに試験の当日となった。尭挙がしばらく試験場にこもりきりになるため、この間だけは船頭も警戒を解き、娘を留守番に残して街の市場へ出かけて行った。
 一方、試験に臨んだ尭挙は出題を見てニンマリした。塾の模擬試験ですでに勉強済みだったのである。尭挙は早々と答案を仕上げた。翌日も同様で、尭挙は誰よりも早く試験場を後にした。
 舟に飛んで帰った尭挙は船頭の留守を幸い、娘を口説きにかかった。そして、まんまと思いを遂げたのであった。

 その晩、平江にいる劉観夫婦は不思議な夢を見た。黄衣をまとった男が二人、駆けつけ、その一人が大声でこう告げた。
「若様が首席で合格しました」
 劉観が合格通知を見ようとすると、もう一人が遮ってこう言った。
「いいえ。若様には道義にもとる行いがあったため、天の勅命により合格を取り消されました」
 その途端、劉観夫婦は目覚めた。
 尭挙は解答用紙に些細な不備があったため、不合格にされた。担当した試験官は、
「文章は見事だったのに」
 と残念がった。
 帰宅した尭挙は劉観に、
「お前は試験の後、何をしたのか?」
 とたずねられたが、船頭の娘とのことは隠し通した。

 次の試験で、尭挙の答案は一次選考では首席となったのだが、結局、合格しなかった。
 その後、尭挙は何度も試験に挑戦したが、いまだに合格したという話は聞いていない。

(宋『[目癸]車志』)