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見栄っ張り


 

 陵(現南京)の張允懐(ちょういんかい)が梅を描くために蘇州や杭州を旅した。允懐はたいそうな見栄っ張りで、旅支度というのに生活用具一切合財を持ち運んだので、たいそうな大荷物になった。
 ある晩、揚子江を舟で下っていると、月がとても明るく、風も穏やかであった。そこで、金山(現江蘇省鎮江)のふもとに舟を停泊させ、長持ちから酒器を一そろい取り出して手酌で飲み始めた。すっかり酔いが回り、興に任せて笛を吹き鳴らしたりして、一人で楽しんだ。
 盗賊が笛の音を聞きつけて、允懐の舟に近づいてきた。うかがい見ると、旅の男が月明かりの下、金色に輝く酒器を並べて飲んでいる。盗賊は人々が寝静まるのを待って、この酒器を奪うことにした。
 その夜更け、盗賊は允懐を殺して酒器をすべて奪った。
 明るくなってからよく見てみると、酒器はすべて金メッキであった。

 見栄を張るのもほどほどにしないと、禍を招くというよい戒めになるであろう。

(明『寓圃雑記』)