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初夜の謎


 

 のある金持ちの家で婚礼が執り行われた。新郎新婦は揃って美男美女で、本人達も相手を気に入っているようであった。宴も果て寝室へ入っていく新郎新婦の後ろ姿を見送りながら、参列した親族達はささやき合った。
「今夜は二人とも神仙の楽しみだわね」
 翌朝、寝室の扉はいつまで経っても開かなかった。
 初めのうちは昨夜あまりにも楽しみすぎてまだ眠っているのだろう、くらいに思っていたのだが、昼近くになっても起きて来ない。これにはさすがに不審に思い始めた。扉を叩いて呼びかけてみても返事がない。窓を破って中をのぞいてみれば、新郎新婦は婚礼衣裳のまま向かい合って首を吊っていた。夜具を調べてみると、契りを交わしたしるしがあった。
 新婦に付き添っていた乳母や下女達は皆、首をひねった。
「夕べ床に入る時には着物を脱いでいたのに、どうしてまた着たりしたんだろう」

 古の名裁判官皋陶(こうとう)でも、この謎は解くことはできまい。

(清『閲微草堂筆記』)