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武 夷 山


 

 建の武夷山(ぶいさん)では風雨の晩に、人馬の行き交う物音や簫や笛の音が聞こえてくることがある。夜が明けると、崖の中ほどに新しい棺が置かれ、中には脛の骨が一本入っているのだという。地元の人達はこの棺のことを「仙人の換骨函」と呼んでいた。

 最近、ある人が絶壁をよじ登った。ふと見れば、棺が崖にかかっている。棺の上には、
「潤州(現江蘇省)朝京門内の染物職人張某の第三女」
 と書いてあった。
 後に所用で潤州へ赴いた折、張氏の家を訪ねてみた。果たして数年前に三女が嫁入り前に亡くなったという。事情を話してその墓を掘り返したところ、棺の中は空であった。

(宋『稽神録』)