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餓 鬼


 

 庭山(現江蘇省)には餓鬼が多いという。
 ある家で饅頭を蒸していた。そろそろ蒸し上がろうかという時、突然、蒸篭(せいろ)の蓋が持ち上がり、饅頭がチッチッと音を立てて動き出した。饅頭は次第に縮んでいき、最初は碗ほどもあったのが、ついには胡桃(くるみ)のように小さくなってしまった。食べてみると味がまったくなく、まるで麩(ふ)を噛むようであった。
 一体、どういうことかと不思議がっていると、老人がこう言った。
「餓鬼が盗んでしまったのじゃよ。饅頭に朱で点を書いておけば、餓鬼に盗むことはできやせん」

 その後、言われたとおり饅頭にちゃんと点を書いたのだが、蒸し上がると縮んでいた。
 人一人が点を書いたところで、餓鬼の群にはかなわないようである。多勢に無勢ということだろうか。

(清『子不語』)