蛍の光、窓の雪
晋の車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)は家が貧しく、灯油を買うこともできかった。そこで、車胤は夏には蛍を袋に入れて本を読み、孫康は冬になると雪明りで勉強に励んだ。
ある日、孫康が車胤を訪ねたところ、留守であった。
「車殿はどこへ行かれたのか?」
孫康が門番に問うと、
「蛍を捕りに行かれました」
とのこと。
帰宅した車胤、孫康の家を訪ねると、庭に孫康がポツンと立って空を見上げている。
「今日はお勉強なされないのですか?」
車胤の問いに孫康、答えるには、
「今日は雪が降りそうにありませんなあ」(明『笑林』)