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鬼を語れば怪至る


 

 る冬の夜、君誨(くんかい)と退之(たいし、韓愈《かんゆ》)、そして私(柳宗元《りゅうそうげん》)の三人で怪談を語り合った。

 ふと見れば、窓の外で光の点がチラチラ光っている。まるで蛍(ほたる)が群れ飛んでいるようであった。今は冬、しかも風が激しく吹きつけ、雪の降るたいそう寒い晩である。蛍が飛んでいるはずがない。私達はゾッとして顔を見合わせた。

 見守るうちにも光の点はどんどん増えていき、幾千万にもなったかと思うと、部屋の中に飛び込んできた。光は丸く集まって鏡のようになったり、ばらばらに散ったりをくり返した。やがて犬の吠えるようなけたたましい音を残して、いずこへか飛び去った。

 三人のうち、一番肝の太い退之でさえ真っ青になっていた。私と君誨は目を覆って突っ伏すばかりであった。

 ことわざに、

「白日に人を談ずることなかれ。人を談ずれば害を生ず。昏夜(こんや、暗い夜の意)に鬼を語ることなかれ。鬼を語れば怪至る」

 というが、本当のことのようだ。

(唐『龍城録』)