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首切り役人


 

 西(かせい)の女が間男を作って夫を殺し、死刑に処せられることとなった。女は年若く美貌であった。首切り役人は女の白く美しいうなじを見て、あらぬことを考えた。

「こういう女を女房にすることができたら、毎晩、楽しいだろうに」

 処刑の終わった晩、首切り役人の前にくだんの女が現われた。女は美しい微笑をたたえて言った。

「お望み通りお前様の妻になりますわ。さあ、一緒にあの世へまいりましょう」

 首切り役人はひざまずいて命乞いをした。すると、女は口調をあらためた。

「あたしは確かに罪を犯したんだから、死刑になっても仕方のないことさ。でもね、死ぬことがこわくて震えている私を、あんたは憐れむどころかいやらしい目で見ていたじゃないか。だから、こうして命を取りに来たんだよ」

 首切り役人は地面に額をすりつけて、

「許してくれ、許してくれ」

 と言い続けた。

「そうかい、じゃあ、許してやろう。あんたの代わりに女房を連れて行くから。あんたは残りの人生を一人で暮らすがいい」

 女はそう言って姿を消した。この夜、首切り役人の妻は病でもないのに亡くなった。

(清『柳崖外編』)