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巨人樸父


 

 の世の東南の隅の、中央からもっとも離れた辺境に樸父(ぼくふ)とその妻が立っている。

 この夫婦は身の丈が千里、腹回りも千里ある巨人であった。でき上がったばかりの地に数多くの河を切り開くよう命じられたが、怠けていい加減な仕事しかしなかった。その罰で夫婦は東南の地の果てに追放され、どちらも隠しどころも丸出しに、背中合わせに立たされることとなった。飲まず食わずで、ただ天から落ちてくる露だけをすすり、寒い時も暑い時も立ち続けなければならない。夫婦はこのような姿で立ったまま、ひたすら黄河が澄むのを待っている。もしも黄河が澄めば、また河を切り開くためにこの罰から解放されるからである。

 夫婦の仕事はいい加減で、切り開いた河には深いところや浅いところ、広いところや狭いところがあった。それを禹(う)が改めて治水工事を行い、ようやく流れが滞らなくなった。

 黄河の流れが澄むには、海への流れを断たなければならないのだが、海への流れが断たれることなど永遠にない。

 夫婦はありえないことを待ち望んで、ずっと立ち続けるのである。

(漢『神異経』)