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息子の魂


 

 、ある学生が親元を離れて遠方に遊学した。
 両親が夜なべをしていると、突然、息子が現われた。
「もう私はこの世のものではありません。今の私は、魂だけなのです」
 息子は悲しそうにため息をついて言った。驚いた両親がわけを問うと、
「今月はじめに病にかかり、今日、死にました。私の亡骸は瑯邪(ろうや、現山東省)の任子成(じんしせい)の家にあります。明日、納棺されるので、こうしてお迎えに上がりました」
「ここから瑯邪までは千里も離れている。どんなに急いでも間に合わないよ」
「外に車があります。それに乗れば、すぐに着きます」
 両親は息子とともに車に乗り込んだ途端、眠ったようになってしまった。夜明けに目覚めると、すでに瑯邪に着いていた。乗ってきた車を見れば、それは葬式の時に供える車と木馬であった。
 任子成の家をたずねてみると、果たして息子はすでに亡くなっていた。任子成は息子の病気と亡くなった時のことを説明してくれたが、息子の話とすべて一致していた。

(六朝『捜神後記』)