お茶をほめる


 

 舎の人が街に住む親戚の家を訪れた。親戚は名水を沸かして安徽の松羅茶(しょうらちゃ)を淹(い)れて出した。その人、お茶を一口飲むなり絶賛した。
「うまい!うまい!」
 田舎の人ながらお茶の味がわかるらしい、と思った親戚、感心してたずねた。
「茶葉がよいのでしょうか?それとも水で?」
 田舎の人は即座に答えた。
「熱さ加減がちょうどよろしいようで」

(明『時興笑話』)