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応 声 病


 

 る人が不思議な病にかかった。話をするたびに腹の中から応える声が聞こえるのである。医者の蘇澄(そちょう)を訪ねて診察してもらった。
「ふむ、これは応声病ですな。治療法はまだ見つかっていないのですよ。近頃、私は『本草(ほんぞう)』を編纂しましてね、天下のあらゆる薬の処方を集めてみました。試しにこれを読んでごらんなさい。何か手がかりが見つかるかもしれませんから」
 蘇澄はそう言って一冊の医学書を手渡した。患者が一つ一つ薬の名前を読み上げるたびに腹の中から声が応えるのだが、ある薬の名前を読み上げたところ何の応答もない。続いてほかの薬の名前を読むと応答があったが、くだんの薬の名前だと応答がない。
 蘇澄は応答のなかった薬を処方して患者に飲ませたところ、病は癒えた。

(唐『隋唐嘉話』)