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手 間 賃


 

 安(現福建省)に一人の村人がいた。いつも建渓を小舟で往来し、薪を売って暮らしていた。

 ある日、いつものように岸に小舟を泊めて薪を切っていると、山の上から数枚の銭が転がり落ちてきた。銭を拾いながら山を登っていくと、大きな樹の根元に甕(かめ)を見つけた。甕は高さ五、六尺(当時の一尺は約30センチ)ほどで、中には銭がぎっしり詰まっていた。少しばかり傾いているため、銭がこぼれ落ちていたのであった。

 村人は甕をまっすぐに立てると、石で支えをした。どう考えても一人では運びきれないので、ひとまず懐に五百枚の銭を入れて家族を呼びに戻り、後で残りを運ぶことにした。

 家族とともにもう一度山へ入ったところ、樹はあるのだが、肝心の甕が見当たらない。村人はあきらめきれず、何日もその周辺を探し回ったのだが、結局、甕は見つからなかった。

 後に、見知らぬ人が夢に現われてこう言った。

「あの銭には持ち主がいるのだ。甕が傾いて銭がこぼれ出したので、手間賃を出してまっすぐに立ててくれる者を雇っただけだ。銭五百枚以上は払えんぞ」

(清『柳崖外編』)